認知症・もの忘れ外来について

「最近もの忘れが激しい…」
「なんだか性格が
変わったように思える」
認知症の始まりを見逃さないで
年齢とともに「最近もの忘れが増えたかも」と感じることは、誰にでも起こりうる自然な変化です。しかし、日常の中で何度も同じことを繰り返し聞いたり、会話や行動に以前とは異なったりする印象が見られるようになった場合は、早めの受診が大切です。
当院の「認知症・もの忘れ外来」では、加齢による変化と病的な認知機能の低下を見分けるため、丁寧な問診と必要に応じた検査を行っています。特に「軽度認知障害(MCI)」の段階で気づき、生活環境の見直しや医学的な支援を始めることが、進行の予防やご本人の生活の質を守るうえでも重要です。
ご本人だけでなく、ご家族のかたからのご相談も受け付けております。「もしかして」と感じたら、まずはお気軽にご相談ください。
こんな症状でお悩みのかたは
ご相談ください

同じ話を何度も
繰り返すことが
増えてきた

物の置き忘れや
しまい忘れが
目立つようになった

お金の管理や買い物が
うまくできなく
なってきた

ご家族から
「最近ちょっと
変わった」
と言われたことがある

急に怒りっぽくなった、
感情の起伏が
激しくなった

よく知っている場所でも
道に迷うことがある

会話の流れが
かみ合わず、
話が飛ぶようになった

着替えや入浴など、
身の回りのことに
無頓着になった

時間や場所の感覚が
不確かになってきた

鍋を焦がしたり、
水道を閉め忘れたりが
目立つようになった

夜中にうなされて
いることがある

動作が急に
止まることがある
認知症について

認知症は“早めの一歩”が
進行を食い止めるカギになります
認知症とは、病気や加齢により脳の働きが低下し、記憶や判断力、言語能力などの「認知機能」に支障をきたす状態を指し、ゆっくりと進行し、次第に日常生活にも影響を及ぼすようになるのが特徴です。代表的な症状には、もの忘れに加えて「同じことを何度も言う」「話がかみ合わない」「時間や場所の感覚があいまいになる」「感情のコントロールが難しくなる」などがあります。また、本人が症状や変化に気づきにくいことも特徴の一つです。
認知症にはいくつかの種類があり、アルツハイマー型認知症や血管性認知症、レビー小体型認知症など、原因によって症状や経過も異なります。そのため、周りのご家族や本人が早期に違和感に気づき、適切な対応を行うことで、進行を緩やかにしたり、生活負担を軽減できたりする場合もあります。
CONSULTATION こんな症状はご相談ください
- 同じ話を何度も繰り返すようになった
- 今日の日付や時間がわからなくなることが増えた
- よく知っている場所で迷ってしまうことがある
- 財布や鍵など、大事な物の置き場所を忘れてしまう
- 会話の内容がかみ合わず、話が通じにくくなった
- 料理や買い物、金銭管理などの家事がうまくできなくなってきた
- 以前に比べて感情の起伏が激しくなったと感じる
- 物事への関心が薄れ、身の回りのことに無頓着になってきた
- これまでできていた日常の行動がスムーズに行えなくなった
- ご家族から「最近、様子が違う」と指摘されたことがある
認知症の種類
アルツハイマー型認知症
脳の神経細胞が徐々に減少し、脳の一部が萎縮していくことで進行するタイプの認知症です。中でも記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる部位に萎縮が見られるのが一つの特徴とされています。
初期段階では、時間や場所の把握が難しくなったり、新しい出来事を覚えにくくななったりと、記憶にかかわる症状が現れやすい傾向があります。
レビー小体型認知症
脳内に「レビー小体」と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積することで発症する認知症の一種です。はっきりとした幻視(実際にはないものが見える)や、筋肉のこわばり・手の震えといったパーキンソン病に似た運動症状が早期からみられるのが特徴です。
日によって症状に波があり、注意力や認知機能の変動が見られることもあります。
前頭側頭型認知症
前頭葉や側頭葉の前方が徐々に萎縮していくことで起こる認知症の一種です。記憶障害よりも先に、行動や感情のコントロールに変化が現れることが特徴です。社会的に不適切な言動や、感情が乏しくなるといった変化が見られる場合があります。
本人に自覚がないことも多く、周囲が「性格が変わったように感じる」「最近怒りっぽくなった」と違和感に気づき、受診されるケースも少なくありません。
血管性認知症
脳梗塞や脳出血といった脳血管障害の影響で、脳の血流が滞り、認知機能に障害が生じるタイプの認知症です。障害を受けた部位によって、記憶・判断・言語などさまざまな機能に変化が現れます。特徴としては、ある出来事をきっかけに認知機能が急に低下する「段階的な進行」が見られる点が挙げられます。症状に波があることも多く、感情面や身体機能にも影響が及ぶ場合があります。
軽度認知障害(MCI)
年齢相応とされる範囲を超えて、記憶や注意力などの認知機能に軽い低下が見られる状態です。この段階では、日常生活は概ね自立しており、認知症とは診断されないものの、将来的に認知症へ進行するリスクがあるとされています。具体的には、最近の出来事を思い出しにくくなった、もの忘れが増えたと感じる一方で、本人がそのことを自覚している場合も少なくありません。
すべてのかたが認知症に進むわけではなく、早期に気づいて生活習慣を見直すことで、進行を予防または遅らせる可能性があります。
若年性認知症
65歳未満で発症する認知症を指します。発症年齢が比較的若いため、仕事や家庭生活にさまざまな影響が及ぶことが特徴です。記憶力の低下や判断力の不調など、認知症に共通する症状が見られますが、症状の現れ方は人によって異なります。
社会的な役割が多い時期に発症するため、ご本人だけでなくご家族にも大きな負担がかかりやすい傾向があり、早期に診断を受け、医療的支援や社会資源を活用することが、よりよい生活を支える第一歩となります。
もの忘れについて

「年齢のせいかな」と思った時が
受診のサインです
誰にでも起こる「もの忘れ」は、年齢を重ねる中で自然に見られる変化の一つです。「人の名前がすぐに出てこない」「何を取りに来たか忘れてしまった」といった場面は、多くの人が経験しているのではないでしょうか?
通常のもの忘れでは、ヒントを与えられたり思い出そうとするうちに記憶がよみがえったり、自分でも忘れていたことを「自覚」できます。一方で認知症の場合、経験自体を忘れてしまう・思い出せないことに気づけないといった違いが見られます。
「年齢のせいかな」「もの忘れが激しくなった」と感じた時こそ、軽度認知障害(MCI)との見極めが大切です。日常生活に支障が出る前の段階で、生活習慣の見直しや医療的サポートを取り入れることで、進行を防ぐことにつながる可能性もあります。
CONSULTATION こんな症状はご相談ください
- 人の名前や単語がすぐに出てこないことが増え
- テレビで見た内容や本のストーリーをすぐに忘れてしまう
- 約束を忘れてしまったことが何度かある
- 「あれ、何を取りに来たんだっけ?」ということがある
- 食材や日用品を買い忘れて、再度出かけることがある
- ヒントがあれば思い出せるが、忘れたこと自体が気になる
- 仕事や家事で軽いミスが増えてきたと感じる
- 忘れものが気になり、自信をなくしてしまいそうになる
- ご本人が「もの忘れがひどくなったかも」と感じている
- 年齢のせいか、以前より集中力が続きにくくなった
治療について

薬物療法
認知症やもの忘れの進行をできるだけ緩やかにするために、抗認知症薬を使用することがあります。状態に応じて、不安感や気分の落ち込み、眠りの質に影響が出ている場合は、抗うつ薬や睡眠薬などを併用して症状の緩和をはかることもあります。薬の効果や副作用には個人差があるため、医師と相談しながら慎重に調整していく必要があります。

ご家族へのアドバイス
認知症の治療や支援において、ご家族の理解と協力はとても大切です。本人の気持ちに寄り添いながら、できることを尊重し、見守る姿勢が求められます。急な変化に戸惑うこともあるかもしれませんが、対応方法や接し方については医師や支援スタッフが随時アドバイスいたします。ご家族が抱える不安や負担についても、遠慮なくご相談ください。

介護・福祉サービスの活用
介護保険制度による訪問介護・通所介護・福祉用具のレンタルなど、各種介護サービスの活用も重要です。状況に応じて、ケアマネジャーや地域包括支援センターと連携しながら、ご本人・ご家族に合った支援体制を整えていきます。民間サービスや自治体独自の取り組みを組み合わせることで、無理なく日常生活を支えていくことができます。
診療の流れ
1 ご予約
当院は予約制となっております。お電話もしくはWEB予約にてご希望の日時をご予約ください。
初めてのかたもご予約可能です。「最近もの忘れが増えた」「家族の様子が少し気になる」といったご相談も、お気軽にどうぞ。
2 ご来院・問診表の記入
ご予約日時にご来院いただきましたら、受付で保険証・医療証・お薬手帳・紹介状(お持ちのかたのみ)をご提出ください。
問診表をお渡ししますので、ご本人やご家族でわかる範囲をご記入ください。すべて記入できなくても差し支えありません。
ご来院時にお持ちいただくもの
- 健康保険証
- マイナ保険証
- 各種医療証
- お薬手帳
- 他院からの情報提供書(お持ちの場合)
ご家族の同伴について
ご本人がうまく症状を説明できない場合や、ご家族が気づいた変化がある場合は、ぜひ同伴をお願いいたします。ご家族からの情報は診断・治療の参考になることが多く、今後の方針を一緒に考えるうえでも大切です。ご本人が抵抗を示す場合なども、事前にご相談いただければ対応いたします。
3 予診・診察
問診表の内容をもとに、医師が現在の症状や日常生活での困りごとについてお話を伺います。
必要に応じて簡単な認知検査や詳細な心理検査を行います。診察はご本人のペースに合わせて進めていきますので、どうぞご安心ください。
さらに詳しい診断が必要と判断された場合は、脳の画像検査(CT・MRIなど)を提携医療機関で実施していただく場合があります。その際は当院から紹介状をお渡しし、スムーズに検査が受けられるようご案内いたします。
4 お会計・処方箋受け取り
診察が終わりましたら受付でお会計をしていただき、処方がある場合は処方箋をお渡しします。お近くの調剤薬局にてお薬をお受け取りください。
よくあるご質問
もの忘れが少し気になる程度でも受診できますか?
はい、もちろんです。
「年齢のせいかも」と思えるような軽いもの忘れでも、気になったタイミングで一度ご相談いただくことをおすすめしています。認知症とは限らず、ストレスや睡眠の質の低下が原因の場合もあります。早めの確認が安心につながります。
どんな検査を行うのですか?
診察では、まず問診や簡単な認知テストを行います。必要に応じて、血液検査や画像検査(CT・MRIなど)を提携医療機関にご紹介する場合もあります。検査内容は、ご本人の状態に応じて無理のない範囲でご提案しますのでご安心ください。
本人が受診を嫌がっているのですが、どうすればよいでしょうか?
ご家族だけでのご相談も可能です。
ご本人の抵抗感が強い場合は、まずは日常生活で感じている変化や困りごとを伺いながら、対応のアドバイスをさせていただきます。受診につなげるための関わり方についても、できる限りサポートいたします。
認知症と診断されたら、すぐに介護が必要になりますか?
認知症といっても、その進行の速さや症状の現れ方は人それぞれ異なります。診断後すぐに介護が必要になるとは限らず、多くのかたがこれまで通りの生活を続けています。早めに気づいて対策をとることで、穏やかな日常を保てるケースもあります。
認知症かどうか、どのくらいの時間でわかりますか?
症状や進行度合いが人それぞれ異なるため、一度の診察だけで確定的な診断が難しい場合もあります。数回にわたって経過を観察しながら判断することもあり、必要に応じて専門検査やご家族からの情報提供も参考にします。
ご不安な点は丁寧にご説明しながら進めてまいりますので、安心してご来院ください。
老年内科について

毎週
水曜診療
小さな不調も、年齢に伴う変化も、
安心してご相談ください
毎週水曜に、プライマリ・ケア/老年内科の診療を行っております。発熱や咳、頭痛、アレルギー、高血圧、生活習慣病など、日常的にみられる幅広い健康問題にも対応しています。体調不良時の初期対応に加えて、予防接種や健康診断、生活習慣の見直しについてのアドバイスも行っております。また、高齢のかた特有の健康課題にもきめ細やかに対応しております。年齢を重ねることで体力や認知機能が変化し、複数の慢性疾患を抱えるケースも少なくありません。その中で、一つひとつの病気だけに注目するのではなく、「そのかたにとっての生活の質(QOL)をどう守るか」を軸に診療を行います。
ご本人だけでなく、ご家族からのご相談も受け付けております。「最近ちょっと気になることがある」「どこに相談すればいいかわからない」と感じた時にも、どうぞお気軽にご来院ください。
こんな症状・疾患はご相談ください

風邪/
インフルエンザ

高血圧

頭痛

糖尿病

痛風

胃腸炎

脂質異常症

アレルギー/
花粉症

膀胱炎

便秘・下痢

貧血